某勉強会での Alternative Set Theories の発表 PDF

(PDF of "Alternative Set Theories")

by Akihiko Koga
26th Sep. 2019 (Update)
26th Sep. 2019 (First)
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今年(2019年)の6月に,某勉強会で Alternative Set Theories について発表してきました. その勉強会の場を提供していただいている会社のサイトにも PDF が置いてあるのですが, いくつか間違いを修正して,目次を付けた版をこちらに置いておきます.あちらは, 人のサイトなので頻繁に置き換える訳にはいかないのです.

「代替集合論(Alternative Set Theories)の調査」のPDF

以下はこの資料の簡単な説明です.


この資料は,基本的には,文献

M. Randall Holmes, Thomas Forster, and Thierry Libert : ALTERNATIVE SET THEORIES, Sets and Extensoins in the Twentieth Century 2012, 74ページ)
を読んで,分からないところを別の参考文献に当たったり,また,前の方に 前提となる知識を補ったりしただけのものだったりします. 雰囲気が分かるように資料の最初の図だけをここに説明しておきます.

上の図の説明

カントールによってはじめられた集合論は,今までの数学に厳密な基礎を 与え,さらに無限に関する新しい数学の一分野を開くかに見えたが,ラッセルのパラドクスなど 種々のパラドクスが顕現してしまい,非常な困難を迎えてしまった. この危機的状況を回避するために多くの人によって色々な提案がなされた.その結果, ZFC (Zermelo Fraenkel + Axiom of Choice) という公理的集合論が形成され,とりあえずは 危機は回避されたが,ZFC 自身はかなり自制的な公理を持った集合論である. 例えば,今日,普遍代数や圏論などですべての集合の集まりやすべての群の集まり級の 大きな集まりを扱う必要がでてくるが,ZFC はそのような大きな集まりを許していない. また,集合の要素は体系を単純化するために,究極的に要素をもたない「もの」というのは 空集合∅だけにして,集合以外のものを許していない.さらに,無限に ∈ 関係が 続くことも許しておらず,すべての集合から ∈ を辿っていくと,かならず有限回で 空集合 ∅ にたどり着くことが要請されている.これは普通に考えると,それほど 悪くなく,むしろ,無限列が存在する ∈ 関係の方が病的に見える.しかし, ある種の応用,例えば,近年の計算機言語の delayed-evaluation を使った無限リストを モデル化する場合などでは,このような ∈ 関係の無限降下列が欲しい場合がある( これについては色々議論があるところであろう).また,パラドクス解決の試みとしては ZFC の他に,ラッセルらによる型理論の試みがあった.全体としては ZFC が優勢を占めたが, この型理論の復権として Quine による New Foundations の提案があった.その他にも, 例えば,集合論を多少いじることにより,超準解析の理論を構築しやすくするといった 試みもあった.

今回の勉強会では,まず,カントールの素朴集合論とそこで起こるパラドクスを 説明し,ついで,公理論的集合論 ZFC について,説明したあと,以下のような代替的な 集合論について説明した.


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