A. J. Cain's "Nine Chapters on the Semigroup Art"
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このページではこの本の内容やそれらを理解するために役立ちそうなことを書きました.
(In this page, I write some introductory topics to the contents of the book and something useful to understand the contents.)
また,代数学の素人がこの本を理解するために役に立ちそうなことを
こちら
に書きました.
(This page contains my explanation to
the elementary cencepts in semigroup theory.
Since the explanation is
due to my own understanding, it might be distorted. Anyway, people with
enough maturity in mathematics. do not need to refer to.)
目次と内容概要と私のコメント(Contents and my comments)
結構,沢山の概念がでてきますので,初学者の方はあまり急がず, しっかりとそれらのイメージを描けるようになるように絵を描いたりしながら進めると 良いと思います.また,ページの両側に新しく出てきた概念の小見出しが ありますので,それを見ながら,自分で説明ができるようになるまで しっかりと概念を理解していくと良いと思います.
とりあえず,章始めの説明を図にしたものを貼っておきます.図をピックすると大きい図で見ることができます.図の説明は,図の下部の巻紙みたいなところに書きました.
自由半群(free semigroup)に限らず,一般に自由代数(free algebra)はとても大切ですね. プレーンのホットケーキみたいなものでしょうか.それ自身はあまり味はないのですが, クリームやイチゴなど(equations)をのせることにより,色々な味,見た目の ホットケーキ(algebra)ができます.気のせいか,少し,お腹がすいてきたみたいな (^_^).
この図に示すように,与えられた半群はグリーンの関係や その半群に含まれるイデアルを利用することにより, いくつかのセクションに 分けられ,それぞれのセクションの内容やそれらの相互関係で 半群の構造を理解します.ここでグリーンの関係とは,例えば, 半群の要素 x と y の左イデアルが等しいなどの同値関係を 指します.他に右イデアルが等しい R の関係や,両側イデアルが等しい J の関係,L かつ R の関係を持つ H の関係,L または R の関係で ある D の関係があります.
このように半群を分解することの一つの目標は,そこから群の要素を 取り出すことです.それに成功すれば,あとは群論の研究者に 仕事を投げることができる訳です.(^_^)
グリーンの関係については,式だけでは中々理解しにくいので こちらに ペーパークラフトを作りながら理解するというページを書いてみました.
尚,この章の節構成は以下の通りです.
この章ではそのような理論のうち2つをご紹介します.1つは構造理論で Cancellative な 可換半群の群への埋め込みに関してであり,もう一つは,自由可換半群とその合同関係に関して, 有限生成の可換半群の場合は有限表現可能 (finitely presented) になることを示します.
ただし,半群では群論と違い,同型でない群の数がケタ違いの多くなります.例えば 要素数8の可換群は同型を除くと3つしかありませんが,半群では 221,805 個あります.
ここの節構成は以下の通りです.
有限半群の構造解析の手段としては,当然,第3章で学習した Green の関係を
使うということが考えられ,この章の第2節でこのことが述べられます.
もう一つのアプローチとして,「半群が半群を割ること(Divisibility)」 という概念を用いる方法があります. 「半群 S が半群 T を割る (S divides T)」とは半群 S の部分半群から T への上への 準同型があることとします.
この章のゴールは,次の
オートマトンで言い換えれば,任意の有限オートマトンは リセットオートマトン(reset automata)とパーミュテーション オートマトン(permutation automata)のカスケード積(cascaded product)で 表現できるという事実に対応します.定理(Krohn-Rhodes)
任意の有限半群はU3と記される 単純なモノイドいくつかと群のリース積(Wreath Product)の中に埋め込むことができる
この定理から,我々は次の章で pseudovarieties という概念を用いた有限半群の分類方法に 導かれます.
複雑な半群やオートマトンがごく単純な半群やオートマトンの組み合わせに分解できると いうことはとても魅力的に聞こえます.しかし,この定理の証明そのままに適用して しまうと巨大な半群やオートマトンが出来上がってしまいます.Divide という関係は,そうして出来上がった巨大な半群の部分半群がもとの半群に準同型写像を持ちさえすればよいのですから. 実は,私は本の簡単なオートマトンでも,この方法で分解して最後までやり通せる自信がありません.しかし,オートマトンをう~んと睨んで,勘で分解するととても簡単なオートマトンの 組み合わせに分解できることもあります.Krohn-Rhodes の定理はとにかく分解できるという 理論的根拠を与えるものなのです.これを実際問題に適用する場合にはまた解かねばならない 課題(複雑さの克服)があるのです.
この章の節は次のようになっています.
ここで出てきた Wreath product は初心者には分かりにくいかもしれません.解説を書こうとして,(2017.12.20時点で)半分だけ書いたものが Wreath Product の 解説にあります.
半分だけというのはこういうことです.半群は 半群版 Cayley の定理から, ある集合 X の上の写像の集合とみなすことができます.集合 X が巨大なときは, 半群を表そうとしている関数の族 X → X も巨大です.そこで X = A × B のように分解して, 関数の族 A → A ともう一つの関数の族 B → B のなんらかの組み合わせで,もとの半群に対応する関数の族 X → X を表現できないかという考えが浮かびます.このとき,それぞれの関数の族が相手側の族のデータ (A と B)を使うか使わないかという分類ができると思います.まったく使わないのが 皆さんよくご存じの直積です.片側の関数の族だけがもう一方のデータを使うのが Wreath 積です. Wreath Product の 解説には,そのデータの使い方のイメージは書いたのですが,Wreath 積はデータの部分を 抽象化して半群の組み合わせ方だけで定義することができます.そこの部分をまだ書いていないのです.そのうち書くつもりですが,今のままでも少しは参考になると思います.
Vaiety は半群やモノイドの集まり(クラス)を規定する概念です.この定義には 二通りあり,一方は,その半群/モノイドで成立する等式の集合を規定する方法です. 例えば,可換半群のクラスを表そうと思えば,xy = yx という等式が成立することを 要求すれば良い訳です.Variety の規定の方法にはもう1つの方法があります( 図で Other way (HSP) と書いてある部分です.これは予め決めた半群/モノイドの 集まりから,直積,部分半群/部分モノイド,準同型の像をとる操作を繰り返し適用 していってできる半群/モノイドの集まりです.教科書の中ではこの 2つの方法が一致するということが示されます.実は,この二つが一致するという ことは,20世紀のこの分野の発展で結構重要な成果でした.
Pseudovariety は Variety の概念を有限半群/有限モノイドに適用したものです. 有限に限るために少し工夫が必要になります.この Pseudovariety は有限半群の 研究にとても重要な役割を果たすそうです.その理由は,与えられたサイズの半群/モノイドは とても多く存在し,その大半が退屈なもの (boring) だからだそうです.
ここでの枠組みは普遍代数 (Universal Algebras) と呼ばれるものを使います.実際,Variety の概念は
半群やモノイドに限らている訳ではなく,一般に代数に対して設定することが
できるものです.したがって,ここでは,まず最初に普遍代数の枠組みが説明されます.
ここでの普遍代数の説明は
ここの節構成は次のようになっています.
rational languages とは簡単な計算機の数学的モデルである有限オートマトンによって 受理できる語の集合のことです.計算機に詳しい方なら,正規表現を知っていると 思いますが,それで記述できる言語と思って結構です.例えば, 文字列 aab の繰り返し (ab)* などですね.
この章では,まず必要なバックグラウンドとして形式言語とオートマトンの知識を 整理し,それらの関係として,言語から定義される syntactic semigroups/monoids と言語の関係を学びます.この章のゴールとしては有限半群の pseudovariety のクラスと ある種の rational languages のクラスが対応しているという Eilenberg の対応,および その帰結を学びます.
今,テキストをみたら,一番最後の節として,Schűtzenbergerの定理の節が 設けてありました.これはStar-free言語(クリーネの*を 使わないで表現できる正規言語)はaperiodic な半群(すべてのHクラスが 1個の要素からなる半群)で認識できる言語と一致するというやつです. これが載っているのは,半群の理論の計算機応用で嬉しいのですが,今,私が 述べた項目のどれに 対応するのか,位置づけがわからなくなってしまいました.この本を読んだのは 大分前なのです.とにかく,知っていて損はない定理なので良しとしたいと 思います.
この章の節構成は次のようになっています.
印刷して手製で製本してみたのですが,表紙が字だけだと寂しいので適当に絵を描いてみました. PDF だけや,それをただ印刷して読むより,少し感じが変わって良いです.このような簡易製本に 興味kのある方は, こちら(製本 DO IT YOURSELF) に製本方法を紹介しました.
製本したものの表紙を考えるのは楽しいのですが難しくもあります.本当はこの本の表紙の中心,つまり,我々のゴールを意味するところにに何か描きたかったのですが,何を描いてもウソっぽくなってしまうので,最近は,いっそセミのグループが会話しているところでも描こうかと思っています.
(I made the printed papers to a book by myself(
(Simple bookbidning (Japanese))
)
. Since I felt the cover with only characters was lonesome, I drew some pictures quickly. Although I wanted to draw something in the center of the cover, that is, the learner's goal, it seems to be false even if I choose any thing to draw. So, now, I tend to think that it might be good to draw a group of cicades talking one another there)