製本 DO IT YOURSELF ノリで背表紙を接着する方法
(Making books by myself, Glue01)

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ここでは,ノリで背表紙を接着する方法を簡単にご紹介します.

結構,分厚い本まで製本できます.私は300ページ以上の実績はあります. たぶん,400ページ以上でも大丈夫かなと思います.ただし,やはりノリですので 製本の質によっては背表紙の接着している部分がはがれることもあります. そこをしっかり接着するのは,また,工夫が必要だと思います. ここでは基本的な流れだけを説明して,製本の質を上げる方法はまた別のページで ご紹介します.


●材料・道具

こちら

●製本の手順

今回は

M. ERNÉ : Beyond Topology : Closure, 2008
76 ページ
を製本します.枚数にして 76ページ/4 = 19枚 と薄いですが,実は,当分,分厚いものを 製本する機会がなさそうなのです.このドキュメントは数学のある分野のチュートリアルで,PDF は M. ERNÉ さん(教授)ご本人のホームページに公開されています.ERNÉ, closure くらいで 検索すると出てくると思います.

  1. まず,印刷物を作成します

    私は沢山の本を持ち歩く関係上,少しでも軽くしたいので,近くのホームセンターで 60g/m2 のA4コピー用紙を買ってきて,それを使っています.薄いので,印刷すると裏写りしますが, まあ,読めますので,軽さを求めて,それを使っています(A4 が210 x 297mm ですから, 70g/m2 のものと比べると,A4 一枚で 0.6237g 軽い訳です.100 枚なら,62.37g.).

    あと,値段も安いですし.


    最近は「小冊子印刷」という印刷方法が選択できるプリンタが出てきていますので,製本用の印刷がとても楽です.


    小冊子印刷でのページの順番

    論文などのPDF は余白が大きくとってあって,小冊子印刷(必然的に1/2倍の印刷)で印刷をするとき, 文字が小さくて読みづらくなってしまうことがあります.私は,フリーウェアで PDFの余白を調整するソフトウェアを見つけましたので,それで余白を少なくして 文字があまり小さくなりすぎないようにして製本しています. でもあまり余白をなくしてしまうと,本を開くとき中央が読みづらくなったり, 余白に書き込みをするとき苦労するので,適切な大きさにすることが必要です(そうで ないとせっかく画期的な証明方法を発見しても余白が少なくて書けないことに なってしまいます.(^_^)).


    切る部分と余白の調整

  2. カットします

    押切があると便利です.写真のものは2,000円~3,000円で買ったものだと思います. カッターでも作業することは可能です.本当は裁断機があると良いのですが, 高価だし,場所をとるので 私の場合,個人で所有するには,押切くらいが限界かなと思っています. もし,将来,売り物にするような本を作るときは裁断機を買うかもしれませんが.


    はい,カットしました.


    A4サイズは 210 × 297 mm ですから,今回は真ん中に5mm 残して, 両側から146mm ずつ切りました.こうすると,表紙をA4サイズ1枚で作成することができます. 297mm 丁度にしなくても,これ以下ならA4サイズの紙で表紙をつけることができます. 余った部分をカットするのはカッターを使っても,それほど難しくありません.

    逆に足りない場合は,ノリで接着して全体をカバーする表紙を作成することが必要に なります.これもそれほど難しくはないのですが,やはり,ノリが乾くまで 待たなければならない余計な接着の工程は省いた方がよいです.

    次はいよいよ背表紙を接着します.

  3. 背表紙の部分を接着する
    少し道具を用意します.背表紙の長さより少し長い板切れを2枚と,小さな万力を2つ. この万力は百円ショップで1つ百円で買ってきたものです.プラスティックでできたもの ですが製本のとき,しっかりと本を固定するのに重宝しています.実は板も百円ショップで 買ってきたものだったりします.


    裁断した紙を合わせて,板で挟み,万力で固定します.このとき,ノリ付けする ほうと逆(つまりパラパラ開く方)がしっかり揃うようにしてください.ノリ付け する方は,背表紙で隠れますが,パラパラ開く方はそろってないと,パラパラしにくい ですし,汚く見えます.もちろん,ノリ付けする方もできるだけ揃っている方がよいです. それから,板で挟む場所は,背表紙側です.


    しっかり紙を揃えて板で挟むのは難しいかもしれません.私は次の写真のように まず,大き目のクリップで固定してから,板で挟み,万力で締め付けています.


    次の工程は,出来上がったときノリがしっかりついて,あまり,ページが 剥がれ落ちていかないようにするための大事な工程です.

    背表紙になる部分にカッターで傷を入れていきます.こうすると ノリがこの傷の部分に入って,紙同士をしっかり接着します.

    どのくらい傷をつければよいかは難しいですが.何回かやってみて 簡単に剥がれない頃合いを掴んでください.ちなみに,私は,かなり 沢山,傷をつけます(初期のころ作成したものはページが剥がれて くることが多かったので).


    次に背表紙の部分をノリ付けします.

    私は,これも百円ショップで買った木工用のボンドを使っています. 成分は酢酸ビニルですね.

    あと,ページを接着させる台紙にするために柔らかい紙を用意します. 私は半紙を背表紙より少し大きく切って使っています.


    はい,固定した背表紙にボンドをつけていきます.


    良くのばして.均等になるように.また,しっかり紙の間に入るようにしてください.


    そうしたら,その上に先ほどの柔らかい紙(半紙)を置きます. しっかり接着するようにその紙の上から押します.


    あとは,ノリ付けして柔らかい紙で覆った部分を板で挟み,万力で締め上げて ノリが乾くのを待ちます.私は一晩放っておいて翌朝以降に残りの作業を するようにしています.


    翌朝,板から外した状態です.柔らかい紙の余った部分を取り去ります. 私は,とくにカッターなどは使わずに,丁寧に手で破っています.


    余計な部分を取り去ったらこうなりました.


    次は表紙をつけておしまいです.

  4. 表紙をつける
    ケント紙などで表紙を用意します.私は,数年前に買った100枚で900円くらいの厚手の プリンタ用紙を使っています.厚さは0.215mm と書いてあります.一般のケント紙より 若干薄いんですかね.まだ,60枚は残っているので,当分買いに行かなくて 済みそうです(私は定年前5年で自己都合退職したのでお金がないのです.年金がでるまで なんとか持たせないといけないので大変なのです.).

    表紙をどのようなデザインにするかは迷うところです.楽しくもあり,苦しくもあり. どちらかというと苦しいほうが多いですね.表示のデザイン方法についてはまた 別のところで書きます.


    背表紙になり,折る部分にまずヘラなどでカタをつけるときれいに折れるようになります. ヘラは紙を傷つけないものなら何でも良いのではないでしょうか,割りばしを削った後,少し先頭を丸めたりして.


    そうして,また背表紙に木工用のボンドをつけて表紙を取り付けます.


    再度,板と万力で挟んでしっかり乾くまで固定します.これも一晩くらい置いておいたほうがよいと思います.


    はい,できあがり.今回は薄いですね.


    こちらは開いたところです.PDF とタブレットで読むのも良いですが, こちらは重要な部分のマーキングや書き込みが自由自在です.もちろん, PDFでもこれらはできますが,やはり,できる度合いが違います.


●材料,道具

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  1. 材料
    1. 製本するための印刷物
    2. 表紙用の紙(ケント紙など)
    3. 柔らかい背表紙の台紙になる紙(半紙など)背表紙の面積分
    4. 木工用ボンド
  2. 道具
    1. 板×2(本の背表紙の長さがあればよい)
    2. 万力×2(100円ショップにあるような小さいのでよい)
    3. カッター
    4. 定規
    5. カッターのマット
    6. 押切り(あれば便利,無くてもカッターで注意深く切ればOK)
    7. 大型のクリップ×2~
    8. プリンタ(小冊子印刷のオプションがあると良い)
カッターや押切など危ないものを使いますから,けがなどしないように十分気を付けながら 製本してください.

主要な道具を並べた写真を載せておきます.


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