(Let's Study Category Theory)
やはり圏論が必要だなと思い,勉強を始めた ところです.
圏論の教科書を書く人たちは,圏論はもちろんのこと,ほかの
数学のバックグラウンドがあるので,数学の素人がなかなか
で,何から始めようかと考えたのですが,これから学ぶもの,つまり圏論ですね,
その
まずは,圏論の free で available な教材として何があるかは,
Logic Matters : Category Theoryに,Lecture Notes や Books などに分類され,沢山リストアップされており,このサイトはとても役にたちます.いや,でも沢山ありますね. Peter Smith は,形式と意味が
The Galois Connection between Syntax and Semanticsを書かれた人でもあります. この解説論文の概要を こちら に書きました.
さらに,実は Peter Smith 自身も圏論の簡単な導入用テキスト
Peter Smith: : Category Theory: A Gentle Introduction, 2016を書かれています.
これについては短い解説を書きました.
絵かここをピックしてみてください.
これについては短い解説を書きました.
絵かここをピックしてみてください.
上に書いた Peter Smith 先生の本です.著者本人が
今までの圏論の本は,ある程度決まった進み方があった.でも,最近,そうでない進み方があることが分かった.最初に 圏論の最終目的に近いところをやってしまう.でも,それだと,やはりある程度できる学生しか読めない(Leinster のことかなあ?).私はその逆にうんと丁寧に進めてみるといったたぐいのことを書かれています.
Adjunction あたりの章(第25章以降)はまだだいぶ変わる可能性があるということで,当面,まとめを作るのは 保留しますが,最初の方はもうだいぶ固まっているということです. 私は,自然変換の章などは,Awodey の圏論の本を読むときなどに結構参考にさせて いただきました(2017年9月20日記).
今,印刷して右のような感じで 簡易製本して読んでいます(簡易製本は事あるごとに紹介することにしているのです).
この本は,だいたい次のような構成です.
この本の評価はかなり分かれるのではないかと思います.私の評価は言いません.まだ読んでいる 途中でもありますし,英語もあまり堪能ではありませんし(日常語で記述されたテキストから 生き生きしたイメージを 受け取るためには,読者側は英語の堪能さが要りますよね.この本ではありませんが,私は上にあげた Peter Smith 先生が イメージを伝えようとして力説すればするほど,イギリスの古い民に根付いた固有の単語がでてきて 読むのがつらいのです.長さ 5 から 7 くらいの短い単語で,こんなに知らない単語があったのかと 驚かされます.むしろラテン語系のテクニカルタームの方が有難いのです.曖昧性も 少なくなりますし).
と言う訳で,例えば,Awodey や Leinster あるいは,上にあげている Peter Smith の圏論の本を 読める人はそちらを読んで,必要だったり,興味があれば,こちらでどのようにそれらを数学以外の人たちに 説明しているかを読み解くのが良いのではないだろうかと思います.
自分の数学の熟練度がまだ低いと考えている人,数学にはほとんど興味がなく,自然科学の 中でどのように圏論が使われ得るのか知りたい人はこれを読んでみるのも手だと思います. Olog とか彼独特の言い回しが 数学の熟練度が小さい人に対して,十分イメージを伝えることに成功しているか, あるいは,そこまでイメージの強化に寄与せず,単にページを増やしているかという ところが評価の別れどころでしょうね.でも,まあ,Olog で日常的な事象の中から, 圏論の概念を構成してみるのは面白いと思いますよ.
Case Study としては次のものがあげてあります.
とにかく短いので,ざっと全体を見てしまい,動機を持って他の分厚い教科書やそのほか各分野の論文やチュートリアルに行くというのが良いのではないでしょうか.
前半部分の圏論の基礎では,正味 pp7-42 の36ページしかなく,どちらかというと定義,例,解説からできています.圏論らしい証明としては付録に Limit Theorem の証明があります.Products と Equalizers がある圏では Limits が構成できるという定理ですね.初心者はこれは見ておいた方が良いです.数学に慣れていない人は,中に出てくる E-indexed products が分からないと,読めないかもしれませんが,何となく証明のエッセンスを感じ取って,自分で products と equalizers を使って極限をいくつか構成してみると良いと思います.
本の内容ですが,数学の範囲内の本です.基本的には計算機科学は入ってないみたいです 1). レベルですが, 前書きの Note to reader によると,原理的には基本的な集合論と論理を学んだ後に読めるのだが,それなりの数学的な成熟度を要求するとのこと.この本の中の例を眺めてみて大部分が大筋で 理解できるなら大丈夫でしょうが,そうでないならたぶん読むのは難しいのではないでしょうか.
章立ては次の通りです.
1) 今,ざっと本の中を見てみたら,"computer science" という 単語が10か所くらいでていました.カーリー化,つまり A × B → C が A → B → C と 同型であること, Maybe monad などです.
モナドは,関数型言語で副作用を閉じ込めるのに使われているという触れ込みなどでプログラマの関心を集めています.
ここでは,モナドに関する色々な文献とその内容を調べてみます. 対象としては,特に関数型言語のモナドの使い方には限りません(でも,そこから始めます).
一応,定義としては,圏 C から C への自己関手 T に対して,C のオブジェクトXをT(C) のオブジェクトT(X)へ「変換」する自然変換ηとT2(X) = T(T(X))のように T がネストしてしまったオブジェクトを T(C) のオブジェクトにほどく自然変換μが存在して,それらがモノイドの条件に似たある条件を満たすときに,(T, η, μ)をモナドと言います.
例えば,C が集合の圏 Setsとするとき,関手 T : Sets → Sets を,集合 X に対して,
T(X) = X の全ての部分集合の集合 = 2Xとし,自然変換 η:1 → T, μ:T2 → T を
ηX(x) = {x} for x ∈ Xとすれば (T, η, μ) はモナドになります.μX(y) = ∪y for y ∈ 22X
このとき,例えば,X={a, b, c} に対して, ηとμは,
ηX : X → 2Xのように,それぞれ {} を付ける関数,最上位の要素の {} を一つ解く関数になります. この例題の設定の場合,自然変換 ηとμは,各集合 X に対して,例えば ηX(a) = {a}
μX : 22X → 2X
例えば μX({{a}, {a, b}}) = ∪{{a}, {a, b}} = {a}∪{a, b} = {a, b}
関数 ηX : X → 2X,を決めたものであることに留意してください.関数 μX : 22X → 2X
このチュートリアルは,Algebra と CoAlgebra を使ったソフトウェアシステムのモデリング に関するものです.図で,Algebra は 自然数やリストなどのように別の型から 生成する手段があって,帰納的(Inductive)にそれらのデータの領域が作られます. それに対して,無限リストや整楚でない集合(non-well-founded sets)など,どうやって 作られたかは問わず,ユーザから,destructor (あるいは observer)で,それを構成する データを次々に取得して観測することが出来るものもあります.中がどうなっているか 分からないけど(つまりブラックボックス),内部状態を持っていて,色々な信号に対して,返答を返すような システムもこちらの種類のものです.こちらのシステムの証明手段は (Co)Induction です.
このチュートリアルは上に書いたようなことを,圏論での Algebras, CoAlgebras を使って扱う
手法を簡単に紹介しています.予備知識としては,Awodey の Category Theory の第10章
Monads と Algebras を読み終えた後がちょうどよいと思います(
先日,久しぶりにこのチュートリアルを読み返してみました.結構良い読み物です.計算機科学の人間が圏論を
勉強するときは,それを計算機科学で使いたいからですが,通常のボトムアップの教科書では
使えるようになるまでかなりの下積み生活を強いられ,根性が無いと続けていけません.
この論文は,圏論が計算機科学でどう使われ得るかを示唆してくれます.基本的には関手の
概念が分かれば分かるように構成されています.また関手自身もその他の圏論の概念も,
集合の圏という特別な場合においてですが,このチュートリアルで定義されています.したがって,実は,集合論の
基礎さえ知っていれば原理的には読むことができます.上の段落では,Awodey の第10章と
書いていましたが,どこで読んでも良いと思います.もちろん,内容は深いので,どこまで
くみ取れるかは読者のそのときの状態次第ですが,早くから読んでみて,分かるところは
分かって得をする,分からないところは動機付けに利用して得をするという
使い方が良いと思います.
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